ロレックスの王道、デイトナ。
とくに現行モデル(Ref .116500LN)は圧倒的な人気を博し、若手コレクターからもベテランコレクターからも支持されている。
一方で、Ref.ナンバー5桁のアンティークモデルに魅せられる人も多い。
今回は、コレクター歴30年、新旧幅広く充実したコレクションを所有しつつ、その中でもデイトナ(Ref. 16520)エル・プリメロをベストに挙げるベテランコレクターにお話を聞いた。
取材協力:もんちっちさん
文:kaorin 画像提供:もんちっちさん |
ーーロレックスコレクター歴30年とのことで、その馴れ初めについてぜひお聞きしたいです。
もともと10代のころから時計には愛着があって、親に譲ってもらったものなどを着けていました。
それから20代になって自分で仕事をしだすと、やっぱりいい時計が欲しくなってきたんです。
当時は今とは物価も違いましたが、ロレックスの中でもデイトジャストなどは比較的買いやすい価格でした。
それで、一本目にオイスターデイト(Ref. 6694)を買って、それからデイトジャスト(Ref. 16234)を購入しました。
初めに購入したオイスターデイト(Ref. 6694)
圧巻のデイトナの山。
これらを含め、最盛期にはロレックスを約100本所有していたそう。
ーー20代のころは、どういうお店に行っていたのですか?
中野ブロードウェイの「かめ吉」には当時からよく行っていました。
私の若い頃は、狭くてこじんまりしたお店でした。
周りにはきれいなお店もたくさんあったのですが、その中で「かめ吉」は、ロレックスのおもちゃ箱のようなイメージでした。
狭いけれど、夢があってわくわくするお店でしたね。
ーーご自身の好みにぴったりの時計が揃っていたのですね。
まさにそうです。
スポーツロレックスが多くて、それを出してもらってみるのが楽しみでした。
赤のサブマリーナ(Ref. 1680)と赤のシードゥエラー(Ref. 1665)があって、どちらを買おうかとても悩んだ思い出もありますね。
結局、店長の箕浦さんのおすすめで赤のサブマリーナを購入して、今も持っています。
いい時計をたくさん勧めていただきました。
ーー時計についての情報収集はどうされていたのですか?
もっぱら雑誌ですね。
「パワーウォッチ」や「腕時計王」、「ウォッチロレックス」など、今も読んでいますし、これまでのものも全部とってあります。
「男の歴史を物語るロレックス」なんて言葉に影響されて、私も男の傷の数だけデイトナと言って買った思い出もありますね(笑)
ーー今までお読みになったなかで、印象に残っている記事はありますか?
デイトナ(Ref. 16520)エル・プリメロの初期モデルの記事です。
デイトナ(Ref. 16520)エル・プリメロには、段落ちダイヤルやいわゆる200タキなどのモデルがありますが、白文字盤にエナメル調のダイヤルというモデルを、雑誌で見て初めて知りました。
今でいうポーセリンダイヤルのことなのですが、当時はまだその名称もついていませんでした。
でもどうしても気になって、名前もわからないまま地方まで探しに行ったのです。
すると、お店の方が後日「エナメル調の珍しいデイトナが入った」と連絡をくださって、購入することができました。
今はほとんどないモデルですのでとても貴重です。
入手できたときはとても感激しましたね。
ーーたくさんお持ちのなかでもお気に入りのモデルはなんですか?
やはりデイトナです。
事業を始めたときに自分を奮い立たせようと、思い切ってデイトナ(Ref. 16520)エル・プリメロを購入しました。
着けてみると、ゼンマイが巻き上がるというか、ぐんぐん手がしびれてエネルギーをもらうような感覚を覚えました。
それからは狂ったようにデイトナを買い集めていましたね(笑)
手前からデイトナ(Ref. 16520)エル・プリメロA番、GMTマスター2(Ref. 16710)、
エクスプローラー2(Ref. 16570)A番。
他にも、お気に入りの”青い時計”たち。
手前から、サブマリーナ(Ref. 16613)、デイトナ(Ref. 116506)、デイトナ(Ref. 116519)。
ーー他にもデイトナとの印象的なエピソードがあるそうですね。
二年ほど前に大病をしたときのことです。
生死をさまよって集中治療室で目が覚めると、すぐにデイトナのことが頭に浮かびました。
これはもう元気になって時計を買うしかないと思いまして、数か月後に無事退院したとき、デイトナ現行モデル(Ref. 116500LN)を記念に購入しました。
そして献身的に看病をしてくれた妻へのお礼に、デイトジャスト(Ref. 116200)のフラワーモデルをプレゼントしました。
奥様にプレゼントされたデイトジャスト(Ref. 116200)ピンクフラワーダイヤルモデル。
ーーアンティークロレックスも多数お持ちとのことですが、アンティークの良さはどんなところでしょうか?
佇まいというのでしょうか。
哀愁が漂っていて、言葉にならない愛おしさを感じます。
自分で着けたり、いろんな角度からみたり、ケースから出し入れしたり、物の上においたり。
実にいろんな表情を楽しむことができます。
手巻きのデイトナの(Ref. 6263)(Ref. 6265)、そして2カウンタークロノグラフの(Ref. 2508)なんてたまらないですね。
プラスチック風防を横から見るとすごくいい味を出しています。
サブマリーナ(Ref. 16600LV)の初期モデル。
ーーでは最後に、時計が好きな理由を教えていただけますか?
そうですね。時計が好きというより、ロレックスだから好きなのです。
デイトナについては自分ではもう病気だと思っています(笑)
さらにデイトナのなかでもエル・プリメロ(Ref. 16520)が好きです。私の中では文句のつけようがない、完璧な時計です。
13年の製造期間の間にデザインも変わって、初期のポーセリンダイヤルから後期のA番・P番までありますが、いずれも甲乙がつけがたいです。
全ての面において素晴らしい時計だと思います。
もっともお気に入りなのはデイトナ(Ref. 16520)エル・プリメロとしつつ、新しいモデルへの飽くなき探求も続けるもんちっちさん。ロレックスへの愛情の深さが伝わってくるインタビューとなった。ロレックスはファンの熱量の高いブランドであるというのは疑うべくもない。多くの人に熱狂的に支持され、120年にわたりマニアを唸らせてきたロレックスは、次の120年、どんな感動を与えてくれるだろうか。