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コミット銀座で専門家に聞く、アフターコロナのロレックス価格変動予想

新型コロナウイルス感染症のパンデミック(以下、コロナ禍)は、今なお世界中に大きな影響を及ぼしている。経済的にもリーマンショックを超えると言われる大混乱を来す中、ロレックス市場はどのような影響を受けたのだろうか。銀座の高級腕時計専門店「コミット銀座」のブログを通じて愛好家への情報発信も行っているエグゼクティブ・アドバイザーの金子氏に、新型コロナウイルス禍を通したロレックス市場の動向を伺った。

コミット銀座 エグゼクティブ・アドバイザー 金子氏(時計鑑定士)

 

――社会全体としては、今年の1月頃からコロナ禍の影響が出始めましたが、その頃はロレックスの価格はどのような状態でしたか?

 

当初は、それほど従来の価格からの変動は見られなかったと思います。いわゆる様子見ムードという空気が流れていました。

 

――では、相場が目に見えて動き始めたのはいつ頃でしたか?

 

如実に相場が変動し始めたのは3月頃、特に3月末くらいでしたね。その頃には、仕入れの市場でも、すでに価格は下がっていました。モデル問わずロレックス全般が一気に足並みを揃えて下落しましたね。ロレックス取引の中心地である香港マーケットからの影響もありましたし、国内での価格変動の要因としては、4月初めの緊急事態宣言も要因の一つとして挙げられます。

 

――国内と国外どちらからの需要に影響が出ましたか?

 

やはり、インバウンド需要の減少による影響が大きかったです。海外からの旅行者の方たちが市場で一定数の割合を占めていたため、そうした人々が一切日本に来られなくなったことで、外国人観光客が多い街の時計店では特に影響が出たのではないでしょうか。ただ、不思議なことに、今現在でもインバウンドの回復が見られないにもかかわらず、ロレックスの価格はすでに戻りつつあります。投機目的で購入される方が価格の下がった時点で買い時だと判断したのか、あるいは国内需要が戻ったのかなど、いくつかの要因が考えられます。

※海外からの入国のこと

 

――価格が戻りつつあるということですが、買い時はもう過ぎてしまったのでしょうか。

 

買い時はもう過ぎてしまいましたね。3月の後半から4月の初めが一番買い時だったかと思います。今やモデルによってはコロナ前より高値で取引されているものもあります。廃盤になるとの予想が背景にあるのではないでしょうか。あくまでも憶測ですが……。こればかりはモデルによって様々なので、一概には言えません。

コロナとロレックスについて語る金子氏

 

――経済活動停止の影響については、今後どうなるとお考えですか?

 

やはり流通ラインの停滞によって価格が高騰した面がありますね。とはいえ、逆に流通が復活した時点で再び価格が下がることもありうるとは思います。コミット銀座では店頭での買取りやオークションでの仕入れが主なので、海外の流通事情などの影響はあまり受けませんでした。この点は、店舗にもよると思います。

 

――コロナ禍において、店頭での買取りは増えましたか?

 

相場が下がるという懸念から、売り時だと判断される方や、経済状況から売りに来られる方もいました。ただ、むしろ買い時だと考えられる方の方が多く、思っていたより売りに来られる方は少なかったです。

 

――なるほど。次に、今回新作発表がありませんでしたが、新たな展開に関してはどうなるとお考えですか?

 

様々な憶測が飛び交っていますが、ありそうなのは、モデルの見た目は同じでキャリバーのみの変更や、文字盤に王冠マークが追加されたりといった展開でしょうか。仮にですが、エクスプローラーⅡのベゼルがセラミックになったり、デイトナが20年ぶりにキャリバーチェンジしたら面白いですね。ちなみにデイトナの価格に関しては、今後上がる事はあります、大幅に下がることはないと予想します。

 

――デイトナ以外のモデルの価格は今後どうなるのでしょうか。

 

ロレックスの今の方針としては、ブランドイメージによる付加価値だけではなく商品の性能に力を入れているため、そこから考えると、ロレックス全般としてさらに価格があがる可能性もあると言えます。

コミット銀座 店頭にて。

 

 

――コロナ禍を受けて、様々なところでオンライン化の熱気が高まっていると思いますが、コミット銀座ではそうした流れをどうお考えですか?

 

社会全体の流れとしてオンライン市場の盛り上がりはあるため、そうしたツールを活用するのも良いと思います。コロナ禍において、コミット銀座でも通信販売や宅配の強化、LINEのテレビ電話でのオンライントークなど新たな試みに挑戦しています。オンラインでもしっかり考えて購入していただけるように情報を詳しく掲載したり、マニアの方が知りたいポイントを抑えて説明するように心がけるようにしています。それによって、通信販売であっても信頼して購入していただくことができていると考えています。

 

――オンラインでの新たな取り組みとしては、何か具体的な予定はありますか?

 

様々な方に詳しい情報に触れてもらいたいという思いから、ヴィンテージロレックスに特化したサイトを立ち上げています。まだ制作中ではありますが、ヴィンテージ市場の透明化と健全化を目指し、そしてヴィンテージロレックスの魅力を沢山の人に発信できればと思っています。このサイトを通じて、安心して本物のヴィンテージをお求めいただければ幸いです。また、今回価格が下がったことによって、若い年齢層のお客様も見られるようになったため、SNSをより強化すると共に、最近立ち上げたYouTubeチャンネル“COMMIT TV”も是非ご覧いただきたいです。

 

  

コロナ禍によって、やはりロレックス市場にも様々な変化が起こっているという。単に価格の変動にとどまらず、流通経路や販売戦略など、影響範囲は幅広い。そんな中で、供給側である時計店も社会全体の要請を受けつつ、オンラインの良さを生かしつつ、安心して購入できるように情報発信など様々な対策に取り組んでいる。今回インタビューに答えていただいたコミット銀座のブログでは、価格変動をはじめとした幅広い内容について、詳しく解説されている。新設のヴィンテージロレックス情報サイトとともに、日々最新情報をチェックしていきたい。

 

コミット銀座

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金子氏が執筆するコミット銀座ブログ

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