入手困難なモデルを手に入れるためには、実際に足を使って店舗を巡ることに加えて、さまざまな情報を入手するのが有効だ。では、そんな情報はどこから出てくるのだろうか。情報の出どころを探ったとき、たどり着くのが先人の実体験だ。時計を探し、店舗をめぐっているうちに体験した出来事は、生の情報そのものだ。今回のインタビューでは、そんな時計探しを続けるあるコレクターの実体験から、まさに「生の情報」となったエピソードを聞くことができた。
取材協力:USKさん
(https://www.instagram.com/yusukeyusk/) 文:さくら 画像提供:USKさん |
――ロレックスを手にしたきっかけは何ですか?
初めに購入したのは、サブマリーナ(Ref.16610)の2005年版です。20代の頃、純粋にかっこいいなと思い購入しました。
手にしたのは大学生の頃で、以来毎日使用しており、いつも腕に巻いていました。オーバーホールに出した時には、代わりの時計がなく、寂しい思いをしました。
それから15年、現在は4本所有していますが、2本目を入手した時も着けていたのは1本目のサブマリーナです。やはり私の原点はこのサブマリーナですね。
初めの一本のサブマリーナ (Ref.16610)(USKさんご提供)
――サブマリーナの他に、特に思い入れのあるモデルがあれば教えてください。
一番気に入っているのは、コンビのデイトナ(Ref.116503)ですね。現在愛用しているこちらのモデルは、今年の初めに出張で東京に行った際にたまたまお邪魔した銀座の正規店で出会ったものです。
元々はRef.116508を探していたのですが、案内されたのがブラックラバーベルト チョコレート&ブラック(Ref.116515LN)と8pダイヤ オイスターブレスレット ブラックシェル(Ref.116503NG)だったのですが、直感的に気に入ったのが後者だったため、そちらを購入しました。使用しているうちに徐々に愛着が湧いてきて、今ではお気に入りです。
元々探していた方のモデルは、年に一本入荷されるかされないかくらいの確率のものですので、今も探し続けています。
――なるほど。他にはどんなモデルをお持ちなのでしょうか。
祖父から受け継いだデイデイト(Ref. 1803)と、赤青ベゼルのGMTマスター(Ref. 126711)です。
デイデイトは、祖父が2本所有していたうちの1本を自分が譲り受けました。
ちなみにこちらはジャパンブレスのモデルです。ジャパンブレスは、1970年代のデイデイトに、限られた期間だけセットされていたものです。
祖父から譲り受けたデイデイト (USKさんご提供)
――そんなデイデイトは、どういった時に着けていますか?
色がゴージャスなので、20代の時はあまり着けていなかったですね。30代になってから着けるようになりましたが、それでも会社にはあまり着けていけませんでした。
――ご自分のライフステージによって変わってくるのですね。お目当てのロレックスの情報はどのようにして手に入れられるのですか?
SNSで知り合った人と実際に会って交流する中で、そうした情報交換をすることは多いですね。実はwatch loversに載っているコレクターさんでも数人知り合いの方がいます。
オフ会時のお写真(USKさんご提供)
――何か時計好きの方に向けての情報はありますか?
そうですね。デイトナのブラック&シャンパンを探していたところ、心斎橋の某店にて案内されたのですが、目の前に商品を出されたにも関わらず、いざ買おうという段階になってから、直近で別のモデルを購入している場合売ることができないと言われ、購入することができなかったことがあります。
そういった公式のルールはないにも関わらず、店舗によってこうした基準を設けられる場合があるのだと知り、そういう面もお店によって様々なのだとわかりました。
――そんなこともあるのですね。そもそも連続でデイトナに出会うという幸運の持ち主がそんなにいないということもあるのでしょうね。USKさんにとって、ロレックスの魅力はどこにありますか?
ロレックスは、やはりブランド力の面でも、機能の面でも完成されていますよね。
ロレックスは時計ブランドの中でも一番有名ですし、相手が時計好きでなくても、着けていればわかってもらえるというのは大きな魅力だと思います。
それに加え、ロレックスは機械式時計の中でも正確性に優れています。
ブランド性と正確性を掛け合わせたコストパフォーマンスでは、いわゆる世界三大時計と比較しても、「完成されている」という点では一線を画すのではないでしょうか。
ロレックスコレクション 左からサブマリーナ(Ref.16610)、GMTマスター(Ref. 126711)、デイトナ(Ref.116503)デイデイト(Ref. 1803)(USKさんご提供)
ーー見た目も中身もある時計ということですね。USKさんにとって時計を着ける意味とは何でしょうか。
そうですね。時計を着けている時と着けていない時を比べるとやはりいろいろ違いますし、手に入れてコレクションするのがもともと好きと言うこともあります。
それに、やはり手に入れるためにもっと頑張ろうと思えるのは大きいです。
また、時計をつけている人を見ると親近感が湧いて、そこからつながりが生まれたりするのも魅力だと思います。
今回USKさんが明かしてくれた、お店によって人気モデルの販売に関して独自のルールがあるというような情報は、実体験からでないとなかなか具体的な内容を知ることは難しい。また、店舗ごととなるとそれを網羅するのも困難だ。デイトナなどの入手困難なモデルを探している方にとっては、USKさんのような経験豊富なコレクターを周りに見つけて交流することが、目当てのモデルを入手する近道になるだろう。