「デイトナはロレックスのなかでもひときわ上品で、癒される。」
今回のインタビューは、そんなInstagramの投稿に興味をひかれたのがきっかけだった。
時計に対して抱く、「癒し」という感覚を解きほぐすことで、ロレックスをまた別の角度から見ることができるのではないか。
そんなふうに考えて、冒頭のフレーズの投稿者である本能ブログさんにお話をうかがった。
取材協力:本能ブログさん (https://www.honknowblog.com/)
文:kaorin 画像提供:本能ブログさん |
――現在、何本もロレックスをお持ちだそうですが、最初のロレックスを買ったきっかけは何だったのでしょうか?
最初に買ったのはアンティークのサブマリーナ(Ref. 5513)でした。
せっかくなら愛着が持てる時計がほしいと思って、自分と同じ年齢のヴィンテージ時計を探していたところ、ちょうど見つけたのがその時計だったのです。
サブマリーナも含めて、ロレックスは昔からデザインが変わらないので、現行品でもアンティークでも、詳しくない人にはわからないだろうと思っていたというのもあります。
1本目に購入されたサブマリーナ(Ref. 5513)
――決め手は年だったということですか?
そうですね。
ヴィンテージのオメガのスピードマスターも持っていましたが、自分の誕生日に近いのがサブマリーナだったので使う頻度もおのずと多くなりました。
結局オメガは友達に売ってしまって、その後使っているのはロレックスだけです。
あと、ロレックスには、若いときから憧れていたんですよ。
でも、若いころにはやっぱり買えなくて、それが40代くらいになって、やっと買い集められるようになってきました。
――若い頃の憧れを実現できたというお話、素敵ですね。そのサブマリーナを買ってからはスポーツロレックスを集めていらっしゃるんですか。
はい。今所有しているスポーツロレックスは、先ほどのサブマリーナ(Ref.5513)から始まって、次にオイスターデイト(Ref.6494)、そしてデイトナ(Ref.116500LN)とエクスプローラーⅠ(Ref.214270)です。
サブマリーナに続いて買った2本目は、ヴィンテージで赤黒カレンダーのオイスターパーペチュアルデイトでした。
1950年代くらいのものを地元のアンティークショップで勧められて買いました。
実は、最近までずっとヴィンテージしか持っていなくて、新品のデイトナや、エクスプローラーの現行品を買ったのは去年やおととしのことなんです。
本能ブログさんのコレクション
左からサブマリーナ(Ref. 5513)、エクスプローラーⅠ(Ref. 214270)、デイトナ(Ref. 116500LN)、
オイスターデイト(Ref. 6494)
――なぜ現行品を買おうと思われたのですか?
デイトナはもともと気になってはいたのですが、シルバーのベゼルに白黒の文字盤というデザインはそこまでかっこいいと思っていませんでした。
それがモデルチェンジしてベゼルが黒に変わったのを見たとき、かっこいい!!!と思ったんです。
雷に打たれました、本当に。
――一目ぼれしたのですね。
そうです。
とはいえ、あまりに人気なために正規店で実物を見ることができないので、ネットや本で見ていました。
地元のデパートでも何年待ちかわからないと言われて3年くらい経ちますが、まだ入荷していないそうです。
でも待ちきれなくて、2019年10月の増税前に駆け込みで240万円くらいで買いました。
いざ買おうとお店に行ったのですが、黒のデイトナにも惹かれてしまって、2時間くらい迷った挙句、結局パンダのデイトナにしました。
――デイトナといえば、instagramで「時計をみて癒される」とおっしゃっていたのがとても興味深かったです。これはどのような感覚なのでしょうか?
そうですね。僕はスポーツカーも好きで乗っているのですが、車を見るときにも同じような気持ちになれますね。
フェラーリやランボルギーニは、運転するのももちろん楽しいのですが、僕の場合、代官山の蔦屋書店とかの前に停めて、外側から眺めるのが好きなんですよ。
ポルシェとサブマリーナ(Ref. 5513)、お気に入りの一枚
――あえてお気に入りの場所まで行ってから眺めるのですね。
そうそう(笑)
スターバックスにしか用がないのに、わざわざ代官山まで行くのがいいんです。
――それと時計を見るときの感覚が似ているのですか?
はい。ロレックスはどちらかというと、機能がいい時計という位置づけですよね。美しさで言ったら、パテックやリシャールなどが挙がるでしょう。
しかし、その中にあってもデイトナは上品だと思うのです。
スポーツロレックスでステンレススチールだけど、上品で、見ているだけでかっこいい。
この点で、スポーツカーに通じるものがあると思います。
シルバーのベゼルのときはそう思いませんでしたが、黒になって、なんてきれいなコントラストなんだと思うようになりました。
考え過ぎですかね(笑)
――いえいえ(笑) 車の場合はお気に入りの場所に停めて眺めるときに、同じような感覚があるということでしたが、デイトナの場合は、どのようなシチュエーションで「癒される」と感じることが多いですか?
外して置いたときに、ふときれいな時計だなと思うことがよくあるんですよ。
そういうときの感覚は、やはり「癒される」という感覚なんですよね。
周りの人が見てきれいだねと言ってもらえるのも、やはりデイトナが一番多いです。
時計とワインに癒される瞬間
――なるほど、日常の一コマの中でふと腕から外したときに、ロレックスを眺めて癒される時間があるわけですね。コレクションの中で日常使いされているのはどのモデルですか?
オイスターパーペチュアルデイトは手巻きで一日で止まってしまうので、あまり使っていないのですが、他の3つはまんべんなく使っています。
――どのように使い分けされているのですか?
仕事柄、スーツを着ることが少なく、私服もSupremeなどのあまりかっちりしていないものをよく着ているので、それに合うデイトナやエクスプローラーをつけることが多いです。
普段着に合わせてつけられるところがいいですね。
もちろん、スーツを着て人前に出るときにもしっかり使えます。
ロレックスは、普段着にもスーツにもよく合って、品もある、守備範囲の広い時計だと思いますね。
ゆるっとした私服にも品を添えるデイトナ(Ref. 116500LN)
――たしかに、どんな場面でも使える守備範囲の広さはロレックスならではかもしれません。
はい。それだけでなく、どんな人にも手が届くという意味でも守備範囲が広いと思います。
誰からも憧れられる時計だけあって安くはありませんが、買おうと思って頑張れば現実的に買える時計だから、嫌味がありませんし、夢があります。
広くいろんな人に愛されていて、世代が離れていても共通の話題になる、すごい時計だと思います。
美しさ、憧れ、そして実用性。ロレックス、特にデイトナには、さまざまな魅力があり、それがないまぜになって表現された言葉が「癒される」というものだったのだろう。忙しい毎日の中で、時計を外したときにふと目がとまり、知らずのうちに眺めては、ロレックスの美にしばし酔いしれる。そんな穏やかな時間、たしかに癒しである。