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年を重ねて買い求めた、亡き父と同じGMTマスター

『思い出はモノに宿る』という言葉があるように、モノには、時を超えてそのモノにまつわる思い出を蘇らせてくれる力がある。今回インタビューを行ったコレクターにとって、その「モノ」とは、亡くなった父親のつけていたロレックス・GMTマスターだ。形見はいらないと考えていた息子が、いま愛用する父親と同じ時計に対して抱く思いを聞いた。

 

取材協力:はるまき王子のパパさん (https://www.instagram.com/harupapa_watch/

文:モカ

画像提供:はるまき王子のパパさん

 

ーー時計に惹かれるのは、どういう理由からですか?

 

私が初めて買った機械式時計がオリエントだったんですが、それが気に入ってずっと使っていました。

時計だけでなくカメラでもそうなんですけど、私は電池を使わずに機械で動くっていうところに惹かれるんです。

デジタルカメラは電池がないとただの置き物になってしまいますが、ライカのような機械式のフィルムカメラは、電池がなくても撮影できます。

同じように時計の場合も、電池がなくても動くっていうところに機械式腕時計の魅力を感じています。

 

ーーたしかに、カメラと時計は近しいかもしれませんね。では、数ある機械式時計の中で、ロレックスに興味を持ったきっかけは何だったのですか?

 

ロレックスを買ったきっかけは、私自身の結婚です。

自分自身が結婚しようとしたとき、亡くなった父を思い出すようなものが欲しくなったんです。

父が亡くなったのは私が29歳の時で、かれこれ20年前になりますが、特に形見のようなものはありませんでした。その当時は形見なんかいらないと思ったんですけど、年を重ねるにつれて、何か1つあれば良かったなと思うようになりました。

そんなときに思い出したのが、生前父がつけていたGMTマスターでした。

父のGMTは1675だったと思うのですが、知らぬ間に売ってしまっていました。私の大学入学金を工面するためか、工場の経営が傾き始めた頃に売ってしまっていたようです。

それで、いわば父の形見として私もGMTマスターを購入しました。

はるまき王子のパパさんが初めて買ったロレックス GMTマスター(Ref.16700)

 

ーーお父さまはGMTマスターをかなり気に入っておられたのですか?

 

小さい頃のことなので詳細には覚えていないのですが、父はどちらかというとロレックスのステータス的な面に重きを置いていたような気がします。

父は小さな町工場の社長をしていました。社長という立場柄、一定のステータスを示す必要がある場面もあり、そんなときにロレックスという1つのブランドが、その役割を担っていた部分もあるのではないでしょうか。

あとは父は石原裕次郎が好きだったので、その影響もあったと思います。石原裕次郎がGMTをしていたっていう話を聞いたことがあるんですよ。それで父も、ロレックスのスポーツモデルのなかでもあまり高価じゃなかったGMTを買ったんだと思います。

 

ーーお父さまがGMTマスターをつけていたのは印象的でしたか?

 

はい。当時、私は10歳くらいだったと思うんですけど、赤青ベゼルの色の綺麗さやカラーリングに惹かれてかっこいいなと思っていました。

お父さまが使っていたGMTマスター(Ref.1675)とほぼ同じGMTマスター(Ref.16750)

 

ーー今改めてご自身でつけてみて、GMTマスターのどんなところが好きですか?

やはりベゼルのカラーリングですね。赤青ベゼルの他に、茶金や青黒も持っているんですけど、父がしていた赤青ベゼルが一番好きです。

はるまき王子のパパさんのGMTマスターコレクション

GMTマスター(Ref.16753)

 

ーー最後にロレックスの魅力を教えてください。

 

まずは見た目です。古典的でありながら、現代でも十分通用するデザイン。シンプルでゴテゴテしすぎないのが魅力的だと思います。

また、堅牢性と耐久性が高いところも大事な部分ですね。日常で使う時計として、ロレックスは最適な時計だと思っています。

はるまき王子のパパさんのロレックスコレクション

 

結婚という人生の節目は、家族というものに思いを馳せる節目でもある。そのタイミングで亡くなったお父上との思い出を形としてほしくなったというのは、ある意味当然のことなのかもしれない。ただ、それを実現できるのは、丈夫さやデザインなど様々な面で多くのユーザーから信頼され、息長く愛されているロレックスならではといえるだろう。そして、今度はさらにその息子へと、父親と父親の愛した時計への思いは受け継がれていくに違いない。