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2019.08.25

”まじめなとけいや”の時計愛 かめ吉 箕浦誠店長インタビュー 前編

 

中野ブロードウェイ3階に、時計好きなら誰もが一目置く名店がある。

“まじめなとけいや”という一風変わったキャッチフレーズを掲げる「かめ吉」だ。
かめ吉は、1998年に店舗面積わずか3坪で創業し、昨年20周年を迎えた老舗時計専門店。

今回は、そんなかめ吉の箕浦誠店長に、かめ吉というお店のスタイルと、時計というものの魅力について伺った。

 


気兼ねなく入りやすい間口の広い店内 画像:かめ吉より

 

――かめ吉は、どのようなお客様が多いのですか。

 

やはり時計好きのお客様は多いですね。一方で中野ブロードウェイという立地ならではで、お店の間口が広く、
初心者でも入りやすくなっています。そのため、近くに勤めている会社員の方がランチ時にふらっと訪れることも多いです。

 

――それはとてもいいですね。「かめ吉」という肩肘張らない店名も、
ふらっと入りやすい雰囲気を醸し出している理由の一つだと思うのですが、この店名の由来を教えてください。

 

まず、日本発祥のお店なので横文字ではなく日本語の名前を付けたいという思いがありました。
そこで「かめ」と「吉」という共に縁起のよい言葉を2つ合わせたようです。

 

――なるほど! 箕浦店長は創業時からかめ吉にいらしたのですか。

 

いえ。僕は以前、広告代理店で働いていたのですが、入社1年目に、たまたまかめ吉を担当することになったのです。
当時、かめ吉もちょうど創業1年目で、社長と他2人しかいなかったものですから、僕も休日などに手伝いに行っていました。
そうしているうちに社長から声をかけていただき、時計も好きだったこともあって、かめ吉に移りました。

 

――ではかなり初期の段階でかめ吉に加わられ、そこから20年もかめ吉で働かれているわけですね。

 

はい。時計店の販売員という仕事は、実はけっこう入れ替わりが激しい仕事なんです。
それで、20年というと結構驚かれたりするのですが、会社員が新卒入社から定年退職まで同じ職場で40年勤め上げることって割とよくあることですよね。
僕が20年勤めているというのも、本当はそんなに驚くようなことではないのではと思いますが、業界的にはやっぱり珍しいので、少し不思議な感覚ですね。

 

――なぜこれほど長く続けられていらっしゃるのでしょうか。

 

僕の場合は、毎日変動する相場を追っていくのが楽しく、常に携わっていたいと思うからです。
また、毎日買い取りをしていると、中には相場のない高級時計の買い取りをするような機会もあります。
そういったものは、相場がない以上、自分で値付けをすることになるわけです。時計店としての腕の見せどころですよね。
こういう他の業界ではなかなかないことができる点が、時計業界の醍醐味ですね。

 


時計マニアの方もグッと惹き込まれる高級時計の数々  画像:かめ吉より

 

 

――時計業界の仕事への深い愛を感じます。箕浦店長は、かめ吉をこれからどんなお店にしたいとお考えですか。

 

時計といえばかめ吉という印象を持っていただけたら嬉しいです。そして、入りやすく、雰囲気がいい。
さらに売れ筋以外にも様々な種類の時計を置くことで、見ていて面白いと思える店にしたいです。

 

――なるほど、そんなお店だから、愛好家だけでなく初心者でも入りやすいわけですね。とはいえ、
やはり高額商品である時計の購入には足踏みしてしまう初心者の方が多いのではないですか。

 

もちろん最初は足踏みされるお客様も多いですし、そのお気持ちもとてもよくわかります。
ただ、僕は時計というものは、好きなのであればお金をかけていいものだと思っています。

もっと言うと、ちょっとでも好きだったら無理をしてでも買った方がいいでしょう。
なぜなら、時計は365日、およそ毎日10時間身につけて使います。例えばスーツですと、どれだけ良いものを着ていても、
毎日同じものではシワは寄ってしまうし貧乏臭く見られてしまいますよね。でも時計はそうはなりません。

 


時計をみつめる箕浦誠店長 撮影:Watch Lovers編集部

 

――確かに。時計の場合、使い込んでもさほど価値が落ちないですしね。

 

そのとおりです。もし買ってから気が変わった、なんてことがあっても、購入金額の半額では売れます。
一旦使って、半額で売れるものなんてそうそう無いですよ。

 

――そういう意味では、時計の場合、失敗してもマイナスはそこまで大きくない。

 

いや、むしろ買ってマイナスになることは絶対にないと言ってもいいのではないかと思っています。
長い目で見ればプラスになります。時計というのは、見ている人は見ているものですからね。
時計が好きな人だと、袖口からちらっと見えているだけでも、どのブランドのどの商品か分かることもあります。
そんなとき、良い時計をしていると、周りからの見られ方も変わります。これは大きいですよ。

 

――なるほど。初心者が時計選びに失敗しないためには、どういうことに気をつければいいですか。

 

時計は失敗して覚えるものですから、とりあえず手に入れることだと思います。大丈夫です。長い目で見れば損にはなりませんから(笑)。

あとはそうですね、実店舗を構えているところを選ぶことです。何かあったときに対面で相談できる安心感があります。
最近はインターネット販売も多いですが、どうしても一方通行になってしまいますから。

 

――実店舗もたくさんあるので、迷ってしまいそうです。何かポイントはありますか。

 

これはもう実際に足を運んでいただくのが一番です。さまざまなお店を訪問して、
お店の雰囲気や接客などを見てみた上で、お客様ご自身の直感を大切にして、合うなと思った店舗で買っていただきたいですね。

1つ言えるのは、時計1本で営業しているところ、すなわち時計専門店を選ぶのは必須です。
鞄や携帯など様々な種類の商品を扱っているところと比べると、 商品1つに対する構え方に確実に差が出ます。
もちろん当店もその類いですから、時計販売に対しての心構えは特にしっかりとしているつもりです。

 

――専門店は少しハードルが高いと感じているような初心者の方も、やはり専門店に行った方がいいということですね。

 

専門店に直接足を運んで、プロの時計店員の話を聞きながら実際に時計を手に取って見ると、間違いなく刺激を受けるはずです。
実物の時計には、そういう力がありますから。実物を見ることで、購買意欲も増します。
「これが欲しい!」という思いは、その人の目的になって、そこに向けて頑張る原動力にもなりますよね。

 

時計は、その人の人生にとって間違いなくいい買い物になります。先ほどお話ししたように、
良い時計を付けていると周りからの見られ方が変わりますし、人生観そのものにすら良い影響を与えられると僕は考えています。

 

 

時計への強い思いを語る箕浦店長の熱い語り口に、気がつけばずいぶん引き込まれてしまった。

この人の人柄や時計愛に惹かれ、かめ吉というお店に通う時計愛好家が多いのもうなずける。

後編では、時計初心者に勧める最初の一本を、箕浦店長に聞いた。