もっと上に行きたいと思った時、ピンチ以上に自分を追い込んでくれるものはないだろう。とはいえ、それほど大きなピンチはそこら中に転がっているわけではない。
「ならばつくってしまえ」と、ロレックスによって自らを追い込み、見事乗り越えて高みへと登りつめた人がいる。そして今もなお、止まることなくロレックスと共に走り続けているという。今回は、そんなコレクターに話を聞いた。
取材協力:k.shuntadesuyoさん (https://www.instagram.com/k.syuntadesuyo/)
文:kaorin 画像提供:k.shuntadesuyoさん |
――かなり若い頃からロレックスを着けていらしたそうですね。
はい、22歳のときからロレックスをしています。
当時は輸入車のディーラーで働いていたのですが、富裕層のお客様は当時の僕のような若造をあまり相手にしてくれなかったのです。そこで、ちゃんとお話を聞いてもらう方法を考えた結果、まずは見た目から変えることにしました。イメージ戦略みたいなものですね。そのために、ロレックスを4本購入しました。
――なぜロレックスだったのでしょうか?
中学2年生の時、テレビでナイティナインの岡村さんが矢部さんにロレックスのサブマリーナ(Ref. 116610LV)をプレゼントしているのを観ました。その時計がかっこよくて、そのころから「お金を稼げるようになったら絶対これを買う!」と思っていたからです。
初めに購入した4本のうちの一本、サブマリーナ(Ref. 16610LV)
まだ時計に詳しくなかったころで、Ref. 116610LVと間違えて買ってしまったという
――ナインティナインさんではなく時計に憧れたのですね(笑) 一気に4本も購入されたのはなぜですか?
車を売るためには、自分を追い込んで本気にならなければと思ったからです。そのために、のんびりしていたら首が回らないような状態にしようと思いました。当時のお給料は手取りで6万円くらいだったのですが、月に少なくとも8万円は支払うことになってしまって。見事に追い込まれて、必死でしたね。
でもその結果、輸入車販売の世界で4年連続日本一になることができました。
ローンは2年ほどで完済しましたが、その勢いのまま5年目で店長になったのです。
――ロレックスを持って駆け上がったのですね。ロレックスによるイメージ戦略は、実際のお仕事の場で、どのように功を奏したのでしょうか?
まずは、お客様が僕を見る目が変わりました。
22歳でロレックスを着けていることで、「いい時計を持っているね」と声をかけていただいたりしましたし、「若いのにちゃんとしている」と思っていただけたようです。
ロレックスによって信用度が上がり、それが一番結果につながりました。
――勝負の一本というのもあったのでしょうか?
GMTマスター(Ref. 16713)です。他のお客様からご紹介いただいた方や、新規のお客様とお会いするとき、それから今月は頑張らなきゃ、というときにしていました。
真ん中のGMTマスター(Ref. 16713)が勝負の一本
品がありながら目を惹く時計である
――時計がご自身を奮い立たせるモチベーションにもなっていたのですね。
そうですね。仕事で独立しようと決めたときもロレックスを買いました。
自分の考えに甘えが出てきてしまっているなと感じたので、また自分を追い込まないといけないと思ったのです。
――人生の転機にロレックスがあるのですね。
思えば子供が2人生まれたときにも、金無垢のデイトナ(Ref. 116518)を2本購入しました。誕生日にもGMTマスターを買いましたね。
一本一本に思い出があります。
お子さんが生まれたときに購入したデイトナ(Ref. 116518)
――そのような思い入れがあるからこそ、購入時の付属品も大切にされているのですか?
そうですね。部屋に積み上がってしまうので妻には怒られるのですが(笑)
それでも並べたくなるんです。
当時の日付などを見て、頑張ったんだなとか、こういうことを思っていたなと、しみじみと眺めることもあります。
GMTマスター(Ref. 16713)とその付属品
一つ一つが思い出を呼び起こす
――どんなときも一緒に過ごしてきて、思い出の一部に必ず時計があるのですね。
本当にそうです。もう相棒みたいなものですね。
今は仕事で全国を飛び回っていて、ストレスの多い仕事をしています。だからこそ、時計を見る一秒二秒の瞬間が、僕にとっては大事な時間なのです。
あとは、自分が動いている限りは自分と同じように動いてくれるというのも、自動巻きの好きなところです。
実際、時計って生き物みたいなところがあると思います。
自分の動きを動力として正確に時間を刻んでくれて、そしてさらには心臓の音を思わせるような音がして。この時代にこういったものがあるのは、すごいことだと思うのです。
ある日の移動中に撮ったGMTマスターⅡ(Ref. 116710BLNR)
――人とモノとして以上に、相棒のような絆があるのですね。
どんなことも一緒に乗り越えたからこそです。
22歳のあの時にロレックスを買わなかったら、こんなに人生は変わっていなかったと思い
ます。
周りにも、自分みたいになりたい、かっこいい時計を着けられる大人になりたい、と言って頑張ってくれる若い子たちがいますし、まだまだ僕も頑張らなきゃなと思います。
ご自身のお店とデイデイト(Ref. 118238)の一枚
人生のあらゆる節目をロレックスと共にしてきたk.shuntadesuyoさん。憧れだった時計はいつの間にか、横で一緒に走る相棒になっていた。そのコンビが止まる気配はない。どちらかが止まろうとも、もう片方が引っ張り、また走り出すのだろう。